【セミナーレポート2019】木暮人連続セミナー第2回:「よく眠れていますか?寝室の空気質を変える【百年杉】の効能」
■木暮人セミナー2019 第2回
「よく眠れていますか?寝室の空気質を変える【百年杉】の効能」
日時:2019年6月22日(土)13時30分開場、14時~17時
場所:木暮人倶楽部セミナールーム(東京都中央区銀座7-4-12銀座メディカルビル9階)
登壇者:
加藤政実 (有限会社加藤木材 代表取締役)
2019年6月22日、東京銀座の木暮人セミナールームにて、「よく眠れてますか?寝室の空気質を変える【百年杉】の効能」のセミナーが行われ拝聴しました。講師は有限会社加藤木材の加藤政実代表取締役です。加藤氏は、「木はしゃべれないから…」木の代弁者として熱く語られました。3時間の熱いセミナーから私なりにレポートします。
【1】加藤政実氏の紹介
加藤木材の加藤氏は、樹齢80年以上のスギに限定し、濃厚な香りの杉を【百年杉】と呼び、この杉を専門に扱っています。ホームページによると、埼玉県狭山市で建築工事(木工事一式施工、家具工事一式施工、建具工事一式施工、内装工事一式施工)と販売(木材、加工材製造、住設建材、家具・建具製造)をしていらっしゃいます。
木暮人倶楽部では、2015年の1月から7月に「日本の杉セミナー~杉を科学する」を開催し、スギの住環境について、6回の講演をお聞きしました。スギは古来日本の住環境を提供してきましたが、科学的な側面からその環境の良さについての研究が進んでいます。
今回の講演者の加藤氏は、スギの効果を十分に発揮した住環境を提供するために日々お仕事をされ、健康に関する情報収集と勉強をしていらっしゃり、その内容をお聞きできました。
一般に工務店の方はスギも使うが他の建材も使うわけですが、加藤氏はスギにこだわっています。 加藤氏のご講演は熱意に満ちた物でしたが、レポートは冷静に作成することを心がけます。スギと言えばスギ林の環境も連想しますが、今回は住環境のスギ板のお話です。
【2】加藤氏の原点
「人を幸せにするために10年間活動をしてきた」とのことで、「スギしか売らない」徹底ぶりです。それは、たとえばアトピーなどの「不都合をお持ちの方」やその家族の方を幸せにすることです。司会の「スギ子さん」(呼び名です)もそのお一人でした。
加藤氏は「空気が問題」とのお考えで、情報収集をしています。30年程前の住宅は公営住宅も含め、漆喰とスギと紙の家だったが、ビニルクロスが約40年前に出てきてから、日本の住宅建築の95~97%がビニルクロスを使用しています。接着剤も危ないと言われていますが、ビニルクロスに含まれる可塑剤が人間にとっての毒ガスを発しているとお考えとのことでした。
家の機能は色々ありますが、家は眠るためにあり、家にいる時間の66%は意識していないが睡眠をとっています。一方人間の脳は自分の体に良いと考える行動をするため、空気に危険を感じると鼻の奥の上咽頭に「閉塞の指令」を出すとのことです。そして、いびきをかいたり子供が鼻呼吸できなくなったりするのではないかと考えています。加藤氏の【百年杉】の部屋にすると「夜中に起きなくなった」や「疲れがとれる睡眠」や「鼻呼吸ができる」などの変化があったとの感想が寄せられています。「寝る子は育つ」と言いますし、大人は休まるとのことです。
スギは芳香があり、板の匂いを嗅ぐのは日本人だけとの話には誰もがびっくりしたのではないでしょうか。加藤氏の経験では、日本人は自分の鼻を板の側に持って行く動作をしますが、外国人はしないそうです。スギの香りの中で日本人は生活してきたのだと解りました。日本は湿度の高いことも香りを感じる要因なのかもしれないとの説明もありました。外国では、害が無いから住宅に木を使うというお話になるほどと納得できました。
【3】スギのフローリング~床が変わるだけで人生が変わる
スギは揮発性の成分を持ち、芳香があります。葉と板とではその成分は異なります。板にする場合には天然乾燥や低温乾燥して、成分が揮発して無くならないようにすることが重要です。高温乾燥すると見た目も多少違いますが、大切な揮発性成分が少なくなります。残念ながら素人は2枚を並べて見ないとわかりません。
樹齢で成分は異なり、加藤氏は樹齢80年以上が良いと考えています。それより若いと効果は少ないので【百年杉】にこだわり、三重県尾鷲スギで天然乾燥や低温乾燥をしたものを使っています。効果を得るにはフローリングが一番良いとの説明でした。床は人間の生活空間に近いことが指摘されました。特に子供や赤ちゃんへの影響は大きいとのことでした。
床暖房が多くなっていますが、加藤氏は勧めないとのことです。子供には人肌の温度が良いが、床暖房は熱すぎるというのです。木は熱くも冷たくも感じないということは、断熱効果の影響もあるからではないでしょうか。床暖房で熱い所に赤ちゃんを居させると、早く立ってしまうとの話も出てびっくりしました。すっかり忘れていましたが、赤ちゃんの時にしっかりハイハイをすることは良いことと言われていたのを思い出しました。
少し前まで、床暖房には無垢のフローリングは無理と言われていましたが、現在は床暖房に使える製品も出てきたそうです。しかし、表面に塗装をするとお手入れは簡単になりますが、効果が無くなってしまうとのことです。手間いらずということで簡単に大切な効果を捨ててきてしまったようです。捨ててしまわない方が良い物もあります。このようなお話に聴衆はうなずいていました。「床を守るか、人を守るか」というぴったりな言葉を加藤氏はおっしゃいました。そして、「人間にはスギは一番。」「人肌に近い。」「やわらかい。」等々です。
水道水の入った紙コップをスギ板の上に10分程置き、テーブルにじかに置いたものと飲み比べをしました。違いがわかった方も多かったようです。
【4】百年杉のベッド
新築も改築も時間とお金を要します。そこで【百年杉】のベッドを加藤氏は作成しています。睡眠時に顔から近い部分に百年杉があり、効果が大きいとのことです。加藤木材には体験できる体感ルームがあるそうです。スギ木口を使ったさらに効果の高い物もあります。
木材のサンプルで百年杉と200年杉を見せていただきました。百年杉は身近なスギの色ですが、200年杉は黒っぽく変色した色合いです。しかし、木の香りについては、加藤氏のお話のように樹齢が高いほど濃厚でした。体調の悪い「不都合をお持ちの方」には、このベッドを使うことで短時間に良い空気を入手できることでしょう。
【5】Q&A
最後に質問コーナーでした。加藤氏の回答を少し紹介します。
●デザインより、家族のことを考えて提案します。
●何社かの新築の見積もりの中では値段が高いですが、良くお考えになって選択してください。カンナをかけると匂いが違うと大工さんのお話です。何に価値を見出だすかということになります。
●【百年杉】の効果は子供の方が早く出ますし、女性の方が早く出るとのことです。
●製作だけでなく、材料の提供もしています。セルフDIYの場合も対応します。
●最高品質で10年間やってきました。次の世代(宮城の方他)にそろそろつなげたい。とのことを最後におっしゃっていました。
【6】感想
ストレス社会では、住宅の部屋の一部分にでもスギを用いると住む人にとって良いのではと私は考えていました。それを実行していらっしゃる加藤氏のお話をとても心強くお聞きしました。今、体に不調がない方も、空気の良い住環境は悪いはずがありません。
個人的なことですが、前回のセミナーで施主の経験をお話させていただきました。寝室のフローリングを天然乾燥の天竜のスギの無垢材にしたことを改めて幸せに思いました。
加藤様、長時間ご講演いただきましてありがとうございました。これからもご活躍を期待しています。
詳しい情報はインターネットで「百年杉の加藤木材」を検索してご覧ください。
田中万里子(木暮人倶楽部 研究者会員)